雨。
少し激しい雨。
昼過ぎ、静かな雨が降り続く中、
なんとなく録画しておいた『言の葉の庭』を鑑賞。
靴職人を目指す15歳の少年、そして歩き方を忘れてしまった大人の女性。
その2人が梅雨の日本庭園で出会う。
日本庭園、梅雨、万葉集に出てくる歌、雨、靴、恋。
繊細で美しい映像と切ない恋が紡ぎだすラブ・ストーリー。
ストーリーはとても王道な恋の物語で、
先の展開が安易に想像できてしまうにもかかわらず、
ドキドキが止まらない。
胸がぐっと締め付けられるような感覚が続く。
夫はこれをマイナスの美学、だと言ったけれど、本当にそう思う。
とにかく、美しい。
新海誠の作品は映像文学だと言われるけれど、
本当にとにかく美しい。
それもまさに文学的な美しさというのか、
色彩も情景も心情の表現もとても繊細で引き込まれていく。
今回、雨が重要なキーワードになっているけれど、
その雨の表現が驚くほど丁寧で素晴らしい。
雨の日に見たからなのか、外から聞こえてくる雨の音さえ
心地よく感じるくらいに、雨の表現が素晴らしい。
恋、あんな恋は経験したことがない。
恋、切なく脆い想いが心の中に流れ込んでくるあの感覚、
結が近づいてくるにつれて、私の心の中にも何かが溢れてきて
とあるシーンで静かに涙をこぼした。
嗚咽などない、ただ、静かに。
最近の日本にはこういった美学を持つ作品が少ないから、
とても貴重なアニメーションだと感じた。
それではまた明日。